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四天王は最強のメンターである【SS】(高い育成力)

あらすじ:ボスが後任を育てたいと考え四天王を雇う。四天王とは4人一組で勇者を育成するスペシャリストである。弱い順に登場して成長を促し、四天王を通過すればボスに挑める力がつくと言われている。つまり四天王は、最強のメンターである。

というテーマでショートショートを書きました。ネタ記事ですがお時間ある方はお付き合いください。

勇者を育成したい魔王は悩む

魔王(現社長)は考えた。

「どうしたらうちのボンクラ息子を次期当主(勇者)にできるだろう・・・」

そして魔王城に入った1枚のチラシを見た。

「育成スペシャリスト・四天王。どんな弱虫でも立派な勇者にしてみせます」

「これだ!」

と思った魔王はさっそく四天王なる人材教育業者へ連絡した。

「魔王様、この度は弊社のサービスをご検討いただきありがとうございます。わたしたちは4つのステップにより勇者を育成していきます。」

「ほう」

「ではそれぞれのサービスについては、担当のものよりお話しさせていただきますね」

四天王最弱のキャラは、最初の成功体験を与えつつ奢りは与えない

四天王最弱のマッチョ「勇者が四天王、つまり魔王軍の幹部を倒したときというのは、たとえそれがフロッグだったとしてもやはり調子に乗ってしまうものです。そこで私は負けた瞬間にこう言います。

「私は四天王の中でも最弱・・・」

とね。そうすれば、ギリギリの勝利の余韻に浸って奢ることはありません。」

魔王「すばらしい」

「では次の担当の者へ引き継がせていただきます。」

四天王2番目の戦いではダーティープレイを学んでいくことが目的

インテリ風の男「私が二番目の四天王を務めさせていただきます。第二の刺客としては力だけでなく、卑怯な手を使う戦いを行い、勇者様にはそれを経験してもらいます。ここでは村を人質に取る、仲間の弱みを握る、などしてダブルバインドな状況での勇者の判断力を養います。」

「なるほど。しかし、あまりにも負荷をかけては廃人になってしまうのではないだろうか?」

「その点は心配いりません。我々はプロフェッショナルですので、タイミングを見極めていますし、最後の最後で助け船がはいるよう手配を済ませています。要は勇者様に悩んでいただくことが重要であり、窮地に陥った際の覚悟と、そもそも窮地に陥る前に回避することを学んでいただきます。」

「すばらしい」

「では、第3の担当の者に引き継がせていただきます。」

四天王3人目は勇者の特性に合わせて弱点の補強を図るオプション枠

謎の女性「第3の刺客についてはオプション枠になります。何か特定のトラウマや弱点がある、といった場合、それの克服のためにかすたまいずしたエキスパートを派遣させていただきます。

これまでですと、勇者チームの中で1人だけ実力が劣っている仲間がいる場合、その底上げを行なったり、いまいちこれといった技のない勇者様の場合、新たな必殺技を習得できるよう誘導したりをおこなってきました。」

「なるほど、では、大臣と相談して別途回答させてほしい。」

「かしこまりました。」

「では4人目のリーダーに引き継がせていただきます。」

四天王最強の4人目は総合演習を実施

四天王最強のリーダー「私が4人目を務めさせていただきます。最後の刺客の役割は総合演習です。これまでの四天王のなかで全ての面で最強の刺客を送り込み、これを打ち破っていただきます。

ここでは勇者様の実力よりも少し上となるエキスパートを派遣しますが、第3までのトレーニング終えた勇者様ですと、たいていクリアすることができます」

「なるほど」

「ここをクリアされた暁には魔王様に挑むための基礎については一通り身に付き、かつ、仲間とのきずなも十分深まっていることでしょう」

「すばらしい!」

魔王、四天王との契約にサイン!そして…

「といったサービス内容になりますが、いかがでしょうか。私共は勇者様の育成のお手伝いができると考えておりますが」

「ぜひお願いしたい」

***

「よくぞここまでやってきた勇者よ。私がお前の父にして世界を滑る魔王である。」

「魔王が父さんだってー」

「ムダ話はこの辺にして、いくぞ勇者よ。貴様のすべてをかけてぶつかってこい」

***

「よくぞ、私を超えてきた。貴様こそ次代の魔王になるにふさわしい」

「とうさーーん!」

***

こうして、魔王はフリーエージェント集団・四天王と契約し、息子を立派な勇者へと育成し、自分の後をつがせることに成功した。

プロジェクト成功を祝う打ち上げの席。

魔王「四天王のみなさまのお陰でボンクラ息子がついに私を越えるまでになりました。なんとお礼をして良いか・・・。今日は好きなだけ飲み食いしてください」

四天王営業担当「ありがとうございます。お役に立てたようで光栄です。ただ、お気持ちは嬉しいのですが、四天王たちはここにはおりません・・・」

魔王「なんと、彼らはどこへ」

四天王営業担当「次のクライアントが入ったと異世界へたびだっていきました。四天王からの手紙を預かっており、今日はそれを渡しにまいりました。」

手紙

魔王様へ

四天王です。この度は私たちのサービスをご利用いただきありがとうございました。

打ち上げのお話は弊社担当より伺っておりましたが、参加できず申し訳ございません。

初めは頼りなかった勇者様が、いまでは立派に魔王様の業務をひきついだときいて嬉しく思っています。

私たちは育成のプロフェッショナルです。これに勝る喜びはありません。

本来であれば、打ち上げの席にも同席させていただくのが筋ではありますが、緊急の案件が入ってしまったため、お手紙にて失礼させていただきます。

またどこかで世代交代などで弊社サービスが必要な際にはぜひまたお声がけください。

四天王

四天王はまた今日もどこかの世界で勇者の育成に貢献していることだろう。

おわりー