科学

森博嗣作『ジャイロモノレール』とは何か?【書評】

ミステリー作家の森博嗣さんと言えば、学者でありつつ作家でもあるという珍しい職歴の作家として知られています。

稼いだ印税は数億円とも言われており、以前「作家は引退する」と言っていたので最近は何をしているんだろうか?と思っていたら、個人研究でジャイロモノレールとか作っていたみたいです。

今日は2018/9/27発売の森博嗣さんの『ジャイロモノレール』という本を読んで知った内容を紹介していきたいと思います。

従来の鉄道と自動車とモノレールの話

まずは、ジャイロモノレールの話に入る前に自動車と電車とモノレールの話から始めていきます。

電車に乗る人はわかるかと思いますが、鉄道はカーブではキイキイいったりしてけっこう無駄なエネルギーを消費しています。

これはある種仕方がないことで、電車の車輪は2本のレールの上を走るため、どうしてもカーブでは外側のほうにエネルギーがかかってしまいます。

一方で同じく車輪で動く車は、実は左右のタイヤが軸でつながってないので、左右のタイヤが別々に動くことができ、鉄道よりは小回りが利く構成です。

なので、交差点の右折時なども、よっぽど運転の粗い人でなければ、そんなに大きなGを感じることはありません。

鉄道は根本的にレールが2本で左右の車輪がつながっているという構成なので、このカーブ問題はついてまわるのだそうで、鉄道がこの問題を解決するにはレールを一本にする必要があるとのことです。

一本のレールなら差動や揺動はなくなるからカーブ時に無駄なエネルギーロスはなくなります。

ん、そういえば、レールが一本の電車ってあったような・・・?

そうです。そこで着目されるのがモノレールです!

モノレールの種類!またがりとぶらさがりとジャイロ

ではここからモノレールの話に入って行きます。

従来の2つのモノレールの話

従来のモノレールには大きく分けると二種類があります。

1つはレールを大きく頑丈なものにして、電車がそれにまたがるスタイル。レールが下、電車が上という上下関係のものですね。

そしてもう一つは、レールを電車の上に通し、ぶら下がる方式。

この2つはともに実用化されていますが、実はどちらも線路を通すためには大規模な線路が必要となり、かつ構造が複雑で力のかかる方向が読みにくいため、従来の電車のように高速化はできていなかったそうです。

そこで著者は、第3のスタイルとしてジャイロモノレールというものを開発しました。

ジャイロモノレールとは

ジャイロモノレールは、ジャイロ効果を利用したモノレールです。

いわゆるまたがり方式のモノレールですが、今までのモノレールと違うのは、安定運用のための太い線路を必要とせず、例えば、既存の鉄道の線路のレールどちらか片方だけで走れるようなモノレールである点。

そんな細いレールにまたがって倒れないの?

と思うかと思いますが、コマのようにジャイロ効果を利用して遠心力を相殺していく設計のため、加速してもカーブに差し掛かっても安定して走れるんだそうです。

へー

ちなみに、このジャイロモノレールというアイデア自体は、一応100年前にイギリスで開発されているみたいなんですが、戦争には不向きだったので廃れてしまいその後はあまり活躍せず、とのこと。

著者はこのジャイロモノレールの試作品を作ってしまったというから驚きです。

しかも著者は森博嗣。科学者ではあるが、作家でもある。

なんだ、ただの天才かよ、と思いつつ読み進めました。

地球ゴマ、ジャイロスコープ

ジャイロモノレールの詳しい原理についてはよくわからなかったので、割愛させていただき、ここからはジャイロ雑学的な話に入って行きます。

一応本当に簡単にジャイロモノレールの理論を書くと、ジャイロモノレールはジャイロシンバル付きの自転車のような構造で、機体が傾くと、それを相殺する方向にシンバルが傾き倒れないんだそうです。

詳しく知りたい方は本書を読んでみてください。

本書で学んだジャイロ雑学としては、まずは、身近にもジャイロ効果を使ったものはけっこう多いということ。

例えばコマや自転車が倒れないのもジャイロ効果であるし、飛行機もジャイロ効果を受けています。

そして、ジャイロ効果を使ったおもちゃみたいなのもけっこう色々あるみたいで、海外ではジャッキーコマとかジャイロカーとかいうのがあるそうです。

日本でも売られているものとしては、地球ゴマというものがあります。

 

 

これは、フレームは回らずに中のコマだけが回転するというおもちゃで、遠心力によりバランスを取るので、かなり不安定な場所でも落ちずにいたりといった不思議アイテムなんだといいます。

こんなん子供のころに渡されたら物理に目覚めてしまいそうですね。

終わりに

本書を読むと、やはり森博嗣が本業は科学者なんだな、というのを実感します。

ジャイロモノレールを個人研究で作り、作り方の動画をアップしたところ、海外からの問い合わせとかもかなり来ているんだといいます。

・・・なにその「極東の発明家」みたいなの、めっちゃかっこいいじゃねえかよ!

と思いつつ、作家として収入を得て、あとは好きな研究を勝手に進める、というスタイルはこれからの科学者の勝ちパターンの一つになるかもしれないな、と思いました。

 

P.S.最近は森博嗣さんの著作は科学エッセイ系が多いですね。