働き方改革

あまりノマドという言葉を使うな…弱く見えるぞ?書評『ノマドと社畜』

タイトルの文言は『ノマドと社畜』という本を読んだ自分の感想を1行でまとめたものです。

『ノマドと社畜』では、3.11の東日本大震災以降急激に増えたノマドワーカーに対し、いい面と悪い面をそれぞれ説明し、ノマドにおけるミスマッチをなくそうという本になります。

本書を読むと、ただカフェでパソコン作業をしているようなノマドワーカーはノマドワーカーの中でも最弱で、「自立して稼げないなら痛い目見ないうちに会社に帰りな!」とでもいわんばかりの世界的トップノマドたちを紹介してきます。

ノマドに憧れがある人は、夢を打ち砕かれるかもしれませんが、逆に夢だけ見て現実を見ないままにノマドになってしまうリスクを避けることもできるかなと。

ノマドを目指す人は一読しておいた方がよい1冊です。

では、以下で本書『ノマドと社畜』を読んで、個人的に学びとなった部分を紹介していきます。

なぜ3.11後にノマドワーカーが増えたのか

3.11以降ノマドが増えた。理由は3.11のときに会社があるから逃げられないという辛さや、交通機関が止まる中、這ってでも出社せよ!という企業のやり方に疑問を見出す人が多かったためだと著者はいいます。

ノマドは場所に縛られない自由な働き方として有力だが、一方で正しく理解せずにノマドという言葉への憧れだけで始めると落とし穴もあるとのこと。

 

ノマド商法!デジタルの香りのする貧困ビジネス

ノマド系自己啓発セミナーや、自社製品の販促会などに注意が必要です。

「ノマドになるためには、このアイテムがあるといいです!」みたいな感じのやつとか、「成功したノマドワーカーと会える相談会(1回数万円)」などがあるそうです。

本当に成功したノマドワーカーから学べる機会でもあるが、本気の人以外は会っても無駄なので基本的にはあまり効果がないとのこと。

あるいは「ノマドワーカーになるための経験を積ませる」と言って無償労働を斡旋する業者などもあるそうですね。

夢とかやりがいとか成長といった言葉が好きな人はノマド商法にかかりやすい傾向があるとのことで、先に本書を読んでおくといいかも。

本書を読むと、ノマド商法にかかるのはいかに情弱なのかを知ることができます。

 

意外と広いノマドの職種

本書では世間一般のノマドのほかに、実際に世界で活躍しているノマドワーカーを数多く紹介しています。

その中で興味深かったのがノマドワーカーの職種です。

ノマドというと広告業やコンサルタントなどの華やかなイメージが強いですが、実は他にも色々あります。

例えば、プラント建設などでもフリーランスで海外を飛び回る人もいるし、森林開発、流通、製造業、プロジェクト管理などのノマドワーカーもいるという。

以前人質に取られた日揮のプラントとかも社員以外のノマドワーカーがたくさん起用されている工場だったそうです。

お国柄の違い!イギリスでは自営業は専門家のイメージ

また、ノマドワーカーに対するイメージとしても国ごとの違いがあります。

日本では技術者・専門家は企業に属することが多いですが、イギリスではフリーランスに多いです。

そのため、フリーランスであるということは一種のステータスでもあり、10年間稼ぎ続けている!などが信用の指標にもなるのだそうです。

また、なぜ海外でノマドが流行るか?というと、交通機関が日本ほど素晴らしくなく、かつ会社員でも交通費は社員持ちのところが多いという事情もあるそうです。

なので、交通リスクや通勤費用を削減する意味でもノマドはよいソリューションになるとのこと。

できないことはやらない!演繹的な解雇という概念

もう一つ面白かったのが、欧米でよく使われる「演繹的な解雇」という概念の話。

欧米では突然の専門外の仕事を振られた場合、断るケースが多いといいます。

「これは、私の最大の力を発揮できないからお断り。しかも、会社側と私の交わした契約に違反する」という理屈です。

ここまではわかります、ただ、この先は日本ではあまりない考えとなります。

「専門外の仕事を割り当てれば、私が失敗することは目に見えている。つまりこれは、私に失敗させて、心理的にいじめ、ひいては私を退職に追い込むという『演繹的な解雇』ではないか?」

と主張することは珍しくなく、演繹的解雇に関するトラブルは多いといいます。

…追い出し部屋みたいな感じは許されないということですね!

真のノマドワーカーの実例も豊富

日本のちょっとノマド始めてみました!みたいなのとはレベルの違う世界中を股にかける真のノマドワーカーの実例が書かれています。

例えば、ネットワークエンジニアのAさんは、スーパーコンピュータの運用からキャリアをスタートし、その後アマゾンのジャングル、アフリカの砂漠などあらゆる場所でネットワークの設計を担当したのち独立。5か国語が使える上、技術力もピカイチなので引く手数多。

職人肌で妥協がないので同じプロジェクトのメンバーがついていけないこともありますが、その場合、企業側がメンバーをAさんに合わせたレベルでアサインするという待遇だという。

やる気のある若手へは技術を惜しみなく教えるため、Aさんと仕事をするとレベルが高まるという評判付き!

本書の結論:ノマドワーカーになれるのはスーパーワーカーだけ。

自由になりたいという逃げの姿勢で真のノマドワーカーにはなれない。ノマドワーカーとなるには、卓越したスキル、一人で営業、会計、実務をこなせる万能性の両方が必要。

というのが本書の趣旨。

もしその自信がないなら、大人しく企業で働くのもありです。

というのは企業にいても、ノマドワーカーのように自分で考えて仕事を工夫していけば、やがて信用やスキルも上がります。そしてクビを切られたり、今の会社が倒産しても次の仕事がないというリスクは避けられるからです。

起業してノマド、起業せずに会社員という2つの選択肢で迷う人にオススメの1冊。