本の表紙の掲載は引用ならセーフ『ウェブサイトの著作権』【書評】

本の表紙の掲載は引用ならセーフ『ウェブサイトの著作権』【書評】

「本の表紙をSNSやウェブサイト上に掲載するのは著作権的にアウトなのか」

そんな議論が最近ホットですね。

個人的な感覚では、表紙くらいいいんじゃないだろうか、と思っていたのですが、法律的にはアウトという説も流れてきたりして混乱していました。

…そういえば、ちょうど最近そんな感じの本を取り寄せていたような?

と思っていたところに、届いたのがこちらの1冊『コンテンツ別 ウェブサイトの著作権Q&A』(2018年8月出版の新刊)

弁護士3名による最新著作!ばっちりですね。

ちょっと読んでみました。感想を以下にまとめていこうと思います。

ポイントとしては、本の内容を批評する目的で、引用の範囲に収まる程度であれば、表紙や中身の掲載はOKというところかなと思います。

では始めます。

コンテンツ別 ウェブサイトの著作権Q&Aの内容

本書では、ウェブサイトの文章での引用、Youtubeなどの動画掲載、写真への著作物の映り込みなど、判断が難しい著作権の話を、Q&A方式で解説していくという内容になっています。

「制限規定の王様」と呼ばれる引用について、引用で許可される範囲はどこまでか、どこまでが引用とみなされるか、などをわかりやすく解説してくれています。

歌ってみた、踊ってみたなどのパロディの著作権についてや、ライブ映像のアップロード、ゲームプレイ動画の放映などについても言及されています。

ウェブサイトやSNSアカウントを運営する人は必読の書だなと思います。

では以下に本書の内容の中で個人的に気になったものをまとめていきます。

本の表紙の掲載について

まずは最近議論になっている本の表紙の掲載について。

これは本書の中では、「本を批評する目的で、書籍の写真を載せることは違法か?」という質問に回答する形で詳しく解説されています。

具体的には、以下の2パターンについて、

1.開いた状態で中身を撮影

2.表紙を撮影

「どちらも引用の条件を満たす限り違法ではない」、というのが本書での判決。

引用は「制限規定の王様」とも呼ばれており、引用ならけっこう広い権限が与えられているみたいです。

制限規定の王様である引用とは何か、どこまで許されるのか

では、次に引用とは何なのか、どこまでが引用なのかについてまとめます。

引用とは、著作権法第32条1項に規定された、最も主張しやすい制限規定で、具体的には以下のように書かれているようです。

第32条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、引用は公正な観光に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究、その他の引用の目的上正当な範囲内で行われているものでなければならない

じゃあ公表された著作物なら丸コピーしてもいいのか、というとそうでもなくて、引用の要件を満たす必要があります。

どういう場合に引用になるかについては判例が定まっておらず、判断が難しいと著者自身述べておりますが、一般的には以下の5原則を満たす必要があるそうです。

1.公表された著作物であること

2.明瞭区別性

3.主従関係

4.出所明示

5.引用する側も著作物であること

要は、引用部分を明記して、どこからとったのかをはっきりさせていて、かつ本文の中で引用部分のほうがメインとならない範囲であれば引用OKという感じだと理解しました。

ウェブサイト上でのイラストの利用を引用として認めた事例として「岡山パンフ事件」というものがあるそうです。

ちなみに転載と引用はちょっと違うみたいですが、引用のほうが強いので転載禁止と書かれていても引用は可能みたいですね。

写真の映り込みについては10~20%ならセーフ

本書では、著作権だけでなくパブリシティ権とか肖像権などについても解説されており、その中で「著作物や通行人の映り込み」についても言及されていました。

写真の映り込みについては、基本的には許可を取る必要はないそうです。

どこまでが映り込みなのか、という判断基準としては写真全体の10~20%程度まで認められるようです。

動画の著作権について:歌ってみた・踊ってみたはアウト

さらに本書では、Youtube、ニコニコ動画などの動画における著作権についてもかなり詳しく解説されています。

個人的に初めて知ったこととしては、J-POPの音楽などをアレンジする「歌ってみた、踊ってみた」がアウトだということ。

パロディ系は基本的にすべてアウトで、会社の忘年会の2次会のカラオケで、流行りの音楽をみんなで踊った映像をSNS上にアップロードしたりするのもダメらしいです。

…これはかなり引っかかりそうですね。

実際、カラオケ店舗での熱唱を動画サイトにアップロードした個人を、カラオケ機器製造会社が訴えた事件などもあったそうですね。

有名人のモノマネに関しては、それがモノマネであることを明記し、内容が侮辱的でなければ特に問題ないとのこと。

…へー。

ライブ映像をアップロードしたい場合はどうすればいいの?

じゃあ、無断でなくて許可取ってアップロードしたいから、その場合は誰に許可取ればいいのか、という話についても軽く触れられています。

アーティストのライブ映像を動画サイトにアップロードしたい場合の例だと、許可を取るべき関係者は以下の通り。

演奏されている楽曲の作詞者、作曲家、ライブでの演奏者、その他出演者全員からの許可が必要とのこと。

…無理やん笑!

サイトでのリンク掲載についても要注意

自らが動画をアップロードしていなくても、違法動画を引用してしまった場合も要注意です。

インラインリンクの場合、あなたのサイトを訪れた人に自動的に映像が流れてしまう場合があります。

そうすると、それが違法動画であった場合、リンクを貼った人も違法動画に加担したとして責任を負う可能性があるとのこと。

…これは怖いですね。

終わりに

ここまで本書『コンテンツ別ウェブサイトの著作権』の内容をまとめてきましたがいかがでしょうか。

自分は法律専門家ではないので、理解が誤っている箇所等あるかもなので、気になる方はぜひ実際に読んでみてください。

個人的な見解では、法律的にどうか、というのが本書の内容だと思うので、破ったからいきなり罰せられるというものばかりではないとは思っています。(アウトなものもあります)

ただ、できるだけ法律に則っていくほうが無難かと思いますので、著作権には注意していくようにしましょう!