小説

本レビュー『世界でいちばんかわいそうな私たち第三幕』【完結】

今週の火曜日あたりに発売された綾崎隼さんの新作『世界でいちばんかわいそうな私たち第三幕』がめっちゃ面白かったのに、まとめ忘れていました。

なんか面白い本を読むと、逆に文章にできない感じがあります。

で、ちょっと読後感が落ち着いてきたので、ここらでまとめていこうかなと思います。

世界でいちばんかわいそうな私たち第三幕は一応完結編です。

まず、この『世界でいちばんかわいそうな私たち第三幕』という本ですが、2019年1月から発売冴えれている『世界でいちばんかわいそうな私たちシリーズ』三部作の三作目。

一応完結編です。

ただ、まだまだ回収していない伏線とか、続けられそうな終わり方とかをしているので、今後に期待な作品です。

 

第三幕の内容をおさらい【ややネタバレ注意】

では第三幕の内容を見ていきましょう。

第1巻、第2巻もそうだったのですが、第3巻も入れ子構造となっています。

・瀬戸内バスジャック事件の時効

・杏先生と詩季さんの夫婦の話

という2つが主題のところに、フリースクールの生徒である知香とエリカの話が差し込まれています。

杏先生と詩季さんの夫婦の話は、「杏先生が本当は別の人と結婚したかった」という話はちょいちょい伏線が引かれていたものの、そのエピソードはかなり重いです。

とはいえ、解決のない話でもあるので、解決ができる事件としての「瀬戸内バスジャック事件の時効の話」のほうが本シリーズのラストとなります。

で、自白するかしないか、するならいつにするか、みたいな話がごちゃごちゃなって、最後の決断は!?みたいなのが本作のあらすじです。

落ちはぜひ読んでみてください。

世界一かわいそうなのは佐伯先生だと思うんだ

ここから先は本シリーズを通して読んだ自分の感想です。

まず思ったのは、世界一かわいそうなのは誰かという話で言うと、これは佐伯先生だと思いました。

他のみんなも誰一人悪人はいないのに、なぜかそれぞれかわいそうではあるものの、佐伯先生は特にかわいそうな貰い事故が多すぎるなと。

例えば、瀬戸内バスジャック事件にしても、誰一人傷つけないようにと考えて実行した事件で、事件後、バスの運転手が職を失ったり、少女が声を失ったりといった予想外の被害を出しています。

そしてさらに、その事件を小説にするタイミングをめぐり自殺者まで出ている。

前の2つは何とか予期できたとしても、これは絶対に予測できない。

「友人を救うためにという大義の元、誰一人傷つけないように計画した事件で、もらい事故のように被害者が多数出ている」という点で、もっともかわいそうかなと思いました。

貰い事故に誰がどこまで責任を負うか?が主題の一つに思えた

で、この貰い事故のような形で、直接的な加害者じゃないけど間接的にかかわってしまった事件の責任をどこまで負うべきか、というのは本書の主題の一つのように思えました。

トロッコ問題のような感じで、今苦しんでいる友人を見殺しにするか、レバーを引いて友人を救うために動きトロッコの進路を変えるか。その進路が変わったトロッコが別の人を引いてしまったとしたら。そして、その結果が予期できるものでなかったとしたら。

誰がどこまで責任を負うべきか、というのが難しい問題です。

実際本書では第1巻では「教師に誤情報を流され、すれ違いになってしまった親友たち」について語られ、第2巻では「トラック事故で家族を失った遺族が、加害者の遺族に嫌がらせをする」という事件について描かれます。

被害者と加害者が微妙にすれ違っているのです。

このテーマは現実でも起こりがちで、みな何か自分の正しいと思うことをしてすれ違うと思うので、考えさせられました。

終わりに

とつらつらと書きましたが、めちゃくちゃ面白かったです。

半年弱で終わってしまったのが残念で、これから何を楽しみに生きればよいのかというレベル。ちょっと生きる理由(本)を探しに行ってきます。

構成とか巻ごとの最後の引きとかもびっくりするくらい上手いので、小説書く人とかにもオススメ。

ぜひ読んでみてください。

ではまた。良い読書ライフを!